今の時代は、「閉塞感漂う時代」と言われます。石川啄木が評論「時代閉塞の現状」を執筆したのは約百年前の1910年8月、啄木を社会に大きく目を見開かせた幸徳事件(大逆事件)の2カ月後▼「思想上に於いて重大なる年なりき。予はこの年に於いて予の性格、趣味、傾向を統一すべき一鎖鎗(さやく)を発見したり、社会主義問題なり」と日記に書きます。大逆事件は、啄木ばかりでなく徳富藍花・永井荷風らの文学者・知識人に衝撃を与えます▼社会主義思想の広がりを恐れた時の政府は取締まりを強化し、1911年4月には警視庁に特別高等課(特高)を設置。閉塞状況打開を国民への弾圧と富国強兵、他国への侵略で活路を求めます▼あれから百年、時代は当時と似ているといわれます。しかし日本は平和憲法をもち、アジアでも世界でも「紛争は話し合いで解決する」という平和の流れが大きく発展。「再び戦争と暗黒政治を許すな!」同盟の出番がつづきます(池)
不屈 中央版 №441 2面 2011年3月15日(毎月15目発行)