レジスタンスに理解と尊敬の国
文明発祥の地 イタリア旅行記
橋本市在住 S I夫さん
5年前の6月、全日本年金者組合近畿ブロック企画のイタリア旅行へ参加し、イタリア年金者組合と交流しました。その概要と見聞の感想を簡単に述べます。
抵抗運動犠牲者の慰霊碑に涙する
ローマのバチカン政庁(カトリック教の世界総本部で一国家を形成している)のサンーピエトロ(聖使徒ヘテロ)大聖堂を見学。ミケランジェロの天井壁画は迫力がありました。次に少し離れたところにある世界戦争犠牲ローマ市民の慰霊碑へ行き、15歳から75歳の男性335名がナチスドイツにより、抵抗運動の報復として虐殺されたと聞き、その立像に涙しました。
イタリア国歌の大合唱
夜はカンツォーネレストラン、日本風にいえば民謡飯店での2時間の屋外夕食会があり、メンバー数人がイタリア国民歌アバンティポポロ(人民よ進め)をリクエストし、原語で大合唱になりました。
すすめいざ 旗かざして うたごえよびかわし
すすめいざ よびかわし すすめいざ旗かざして
うたごえたからかに
平和の旗かざして 平和の歌たからかに
平和の旗ひるがえり 平和の勝利うたうよ
曲は『むすんでひらいて』の様な単純なものですが、王制から共和制への移行時の祝賀と、悪政との戦いのときのこえと聞きました。
カーサーデルーポポロ(人民の家)を訪問
翌日はバスで320』移動し、フィレンツェに着き、サンタ・マリア大聖堂を見学後、郊外のカーサーデルーポポロ(人民の家)を訪問し、イタリア年金者組合との交流の夕べの機会に恵まれました。内容は次のとおりでした。
《年金者組合大阪府本部副委員長》
「イタリア年金者組合の運動と成果を日本に持ち帰り、両国の高齢者福祉の増進と友好、民主運動の相互発展を望むものである」
《村長》
「人民の家とは、国と地方の行政サービスを実施する団体で、中部イタリアで多数開設され活動している。各種各層の団体が参加し、我々の家ではカトリック信徒が400人、その他、政党、労組、年金者組合等で、1300人が加入している。すべて自由意思に基づいて参加運営されていて、村の人口は2万6000人である。村には16の家があり、サークル活動として、スポーツ(サッカーは特に盛ん)、映
画鑑賞、児童バレー、ダンスがあり、老人の生活支援活動も活発で、コーラスはわが家では70人が参加している。
《家に政党として参加している「再建イタリア共産党の代表者」》
「企業と官庁の退職者全員と自営業者等が年金者組合に加入し、組合が代行して年金請求事務や税務申告の相談をしている。年金は60歳から受給者すべてに月額500ユーロ(約6万5千円)の上乗せ、最低保障制度があるが、生活苦を訴える組合員が多い。勤労者と老年者の権利擁護路線を擁護し、連帯と支持拡大に努め、将来我が国の政治勢力の主流を目指している」
パルチザン、反ムッソリーニに理解と尊敬
《書記次官》
「日本のJR職場では、共産党員は絶対に新幹線の運転士にはなれないが、イタリアではどうか」
《イタリア共産党の代表》
「全く関係ない。技術と資質、心身の健康のみが配属の基準である。我々はパルチザン、反ムッソリーニの闘争、その後のドイツの占領に対抗し、戦争終結のため、多数の党員の犠牲、救国の努力とその精神は、深く国民に理解されていて、極右以外の国民から尊敬を得ているのである」
《副委員長》
「大阪府民800万人で組合員6000人(全国は7万人)だが、イタリアではどうか」
《イタリア共産党の代表》
「60万人である。全国では国内最大労組が430万人を超えている」
その翌日は100㎞移動し、ボローニャと言う革新自治体に着き、史跡見学をしました。市庁舎の広場にレジスタンスの碑があり、祖国解放のため尊い命を捧げた市民が、写真入りで顕彰されていて、女性数十人を含む千人か掲示されていました。
こんな素晴らしい国があること、「共産党は正義の味方で愛国者」との認識が国民に浸透していることが判りました。一世紀前の大逆事件から、参院選終盤の西神戸ポスター弾圧事件まで、反共と封じ込めの不当な政治行為に対抗し、治安維持法犠牲者の名誉を回復することが、国民の福祉増進と世界平和にとって不可欠であります。
サンタ・マリア大聖堂
不屈(橋本・伊都版) 第5号(2)2010年8月15日