国賠署名と不適用条約の関連
時効不適用条約批准の運動は、このように国賠署名に対する私たちの確信を高めて、大いにプラスになるだけではありません。アピールの仕方、取り上げ方によっては、広い国民運動に発展させ売る内容をもっていると考えます。
私たち治安維持法の犠牲者だけでなく、被爆者だとか、シベリア抑留者とか、恩給未支給の人たちとか、戦争被災者とか、国内法ではすでに時効になっている四十数年前の戦時、戦前の国家責任を追及していくという観点からみますと、非常に広い範囲の運動になりうる要素があるのではないでしょうか。
ちなみに、西ドイツでは、戦争被害補償は、民間人と軍人との区別がなく、軍人でも日本のような旧階級による格差は、一切設けられていません。
時効不適用条約の批准というスローガンを掲げ、切実な体験をもっている私たちの同盟が、口火を切って提唱するにしても、広範な団体や個人を網羅する国民運動を展望できるような、適切有効な方策を考え、実行することが必要でしょう。
時効不適用条約を書くとする運動が、世論を動かして、国民運動に発展していきますと、同盟独自の国賠署名運動の幅も広がり、相乗的に加速されることになるでありましょう。
「戦争犯罪と人道に反する罪に対する時効不適用条約」は、私たちの間でも、また一般にも、あまり知られておりません。まず、私たちが内容と意義を十分に研究して、確信を深めましょう。そして、これを世論にして高めるには、どういうふうに取り上げて、どういう運動にしていくかについては、各方面の例えばシンポジウムをやるとか、慎重に、宣伝啓蒙運動を始めることが、必要ではないでしょうか。
パンフレット 「なぜ、いま 時効不適用条約か
戦争犯罪と人道に反する罪に時効はない」から